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公演迫る!1月11日(金)日本フィル第111回さいたま定期演奏会 曲目解説
2019.01.04

 

■ベートーヴェン:序曲《プロメテウスの創造物》

迫りくる聴覚の異常とたたかうかのように、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)の創作力と作曲家としての名声は1800年にかけて次第に高まりを見せていた。その名声を聞きつけた当代きっての舞踊家ヴィガーノの依頼を受けて作曲されたのが、彼の数少ないバレエ音楽のひとつ《プロメテウスの創造物》である。人間の創造神で火をもたらし文明を築く力を与えた救い主としてのプロメテウスの姿は、ベートーヴェンにとって、民衆の意識を改革へと導いた民主主義革命の象徴と映ったに違いない。このバレエ曲のフィナーレに、のちに作曲される交響曲第3番《英雄》の最終楽章の主題と同じものが使われているのも、「人類の覚醒者=プロメテウス」を英雄ととらえたベートーヴェンの心のあらわれではないだろうか。

バレエの初演は1801年3月21日にウィーン宮廷劇場で行われ、この年さらに15回の再演が行われた。全曲中で序曲のみが完全なオーケストレーションで残されており、今日では主に単独で演奏されている。

 

■ブラームス:ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲 イ短調 op.102

ヨハネス・ブラームス(1833-1897)最後の大規模な管弦楽曲となるこの作品は、もともとは“交響曲第5番”として着想されたものである。この時期ブラームスは、長年の友人であるヴァイオリニストのヨーゼフ・ヨアヒムと些細なことから仲違いしており、互いの心の溝を埋めるため、曲中で独奏ヴァイオリンを用い、その意見をヨアヒムに求めることとした。

ヨアヒムから好意的な意見を受けたブラームスは、この作品の協奏曲としての構想を推し進め、ヴァイオリンのほかチェロを独奏楽器として扱い、バロック時期の“合奏協奏曲(コンチェルト・グロッソ)”のスタイルを採り入れることとなったのである。この間にヨアヒムはもちろんのこと、その後初演の際に独奏チェロを受け持つこととなるローベルト・ハウスマンや、クララ・シューマン、出版社のジムロックなど多くの人々に意見を求めている点は、二重協奏曲という新たな発想を前にしたブラームスの慎重さを物語っている。

初演は作曲者自身の指揮により、ヨアヒムとハウスマンの二人を独奏者に迎えて、1887年10月18日にケルンにおいて行われた。ふたつの独奏楽器とオーケストラとが見事に融合したこの作品は、通常の独奏楽器の協奏曲では味わえない豊かな響きのほか、ブラームス晩年の滋味溢れる奥深い音楽性により、大変ユニークな名品として愛好されている。

第1楽章:アレグロ、イ短調、4分の4拍子、ソナタ形式。

第2楽章:アンダンテ、ニ長調、4分の3拍子、三部形式。

第3楽章:ヴィヴァーチェ・ノン・トロッポ、イ短調、4分の2拍子、ロンド形式。

 

■ドヴォルザーク:交響曲第9番 ホ短調 op.95 《新世界より》

アントニン・ドヴォルザーク(1841-1904)はチェコの国民楽派を代表する作曲家のひとりであり、彼の芸術表現には先輩スメタナからの影響による民族主義的性格が強く窺える。祖国で学び、早くから才能を発揮していたが、1875年、34歳のときにオーストリア政府の奨学生に応募しウィーンに留学。奨学生試験の審査員のひとりであったブラームスに出会い、ドヴォルザークはこの偉大な交響曲作曲家の重厚な作風からも大きな影響を受けるようになった。ブラームスの力添えで多くの出版社とも交渉するようになり、ドヴォルザークの名声は次第に広くヨーロッパに知れわたっていったのである。

1892年秋に彼はニューヨークのナショナル音楽院の創設者ジャネット・サーバー女史に招かれ渡米し、1895年春までの2年半に及ぶ音楽院院長職時代に次々と傑作を書き上げた。さまざまなアメリカの民俗音楽を採集研究し、とりわけアメリカ先住民の民俗音楽や黒人霊歌に深い関心を示し、それらの音楽から受けた新鮮な感動を素直な形で自作品、例えば弦楽四重奏曲第12番《アメリカ》などに反映させている。

一方、異郷に暮らすドヴォルザークはアメリカにあったボヘミア移民の村をしばしば訪れ、母国への郷愁を常に心に抱いていた。そうした新しい世界から受ける新鮮な印象とボヘミアへの望郷の念とが入り交じった、独特のニュアンスをもった作品が生み出されていくのだが、その代表作が1893年に作曲されたこの「ホ短調交響曲」である。1893年春から約半年をかけてスケッチし、この年の夏休みをアイオワ州にあったボヘミア移民の町で過ごしながら、オーケストレーションもあわせて進め、秋に全曲を完成させている。初演は完成後間もない1893年12月16日、アントン・ザイドル指揮のニューヨーク・フィルハーモニック協会管弦楽団演奏会で行われた。

第1楽章:アダージョ、ホ短調、8分の4拍子~アレグロ・モルト、4分の2拍子、緩徐序奏部つきソナタ形式。

第2楽章:ラルゴ、変ニ長調、4分の4拍子、複合三部形式。このコール・アングレで奏される主題はとりわけ美しく、詩をつけて「家路」という歌として親しまれている。

第3楽章:モルト・ヴィヴァーチェ、ホ短調、4分の3拍子、スケルツォ楽章。

第4楽章:アレグロ・コン・フオーコ、ホ短調、4分の4拍子、ソナタ形式。金管で奏される力強い主題をもった堂々たるフィナーレ楽章。

 

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【お申込み先】
ソニックシティホール

TEL:048-647-7722(日曜・祝日を除く9~18時)